潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
一難去って、また一難?
智司と初めて会ったのは、二年前の食品見本市の時だった。
各メーカーが自社の商品を持ち寄り、ブースに分かれて関連企業へと売り込む。
立ち寄る関係者たちに商品を紹介しながら、それが如何にいいもので、何をポイントにしているかを語らないといけない催し。
その時、私が勤めるハピネス・マザーズフードは、智司の会社の隣のブースだった。
当時の私はまだ二十五歳で、初めての見本市参加にワクワクしていた。
肩に力を入れ、一生懸命声を張り上げて説明を繰り返した。
余りにも力説してばかりいたものだから、午後には声が掠れて出なくなる程だった。
(あーもう喉カラカラ)
ブースの裏でスポーツドリンクを飲みながらうがいをした。
誰もいないのをいいことに、それをゴクンと飲み込んだ時だ。
「お疲れ」
隣のブースから声が聞こえ、ギョッとしながら振り返った。
そこには紺色のスーツを着た男性が座り込んでいて、ニコッと人の良さそうな笑みを浮かべている。
「お、お疲れ様です」
掠れ声のまま返事をすると、彼は手にしたスポーツドリンクを手に立ち上がり、こっちを向いて話しかけてきた。
各メーカーが自社の商品を持ち寄り、ブースに分かれて関連企業へと売り込む。
立ち寄る関係者たちに商品を紹介しながら、それが如何にいいもので、何をポイントにしているかを語らないといけない催し。
その時、私が勤めるハピネス・マザーズフードは、智司の会社の隣のブースだった。
当時の私はまだ二十五歳で、初めての見本市参加にワクワクしていた。
肩に力を入れ、一生懸命声を張り上げて説明を繰り返した。
余りにも力説してばかりいたものだから、午後には声が掠れて出なくなる程だった。
(あーもう喉カラカラ)
ブースの裏でスポーツドリンクを飲みながらうがいをした。
誰もいないのをいいことに、それをゴクンと飲み込んだ時だ。
「お疲れ」
隣のブースから声が聞こえ、ギョッとしながら振り返った。
そこには紺色のスーツを着た男性が座り込んでいて、ニコッと人の良さそうな笑みを浮かべている。
「お、お疲れ様です」
掠れ声のまま返事をすると、彼は手にしたスポーツドリンクを手に立ち上がり、こっちを向いて話しかけてきた。