潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
そう思って彼の祖父宅に足を運んだ。

立派な前園のある日本家屋は、まるで重要文化財?と目を見張るくらいに荘厳な感じの門構えをしている。




(やっぱり帰りたいかも)


臆病風が吹いてきて、また今度…と弱気になってきそうな私の隣で、尚行さんは涼しい表情を浮かべている。


門の前で車を降りて佇む。
脇にある通用口に向かって歩き出したところへ、内側から扉が開いて驚いた。



「あら?」

「えっ…」


相手の顔を見て私は絶句。
向こうも当然そうなり、はてな?と思ったらしい彼は、私の方に向いて、どうした?と声をかけてきた。



「お母さん」

「香純」


え?何で母がこの家に居るの?
ひょっとしてまさか、今回の仕事の相手が、この家の住人?


「お母さんて…」


困惑気味に顔を見定めてくる彼。
私と母とを見比べて、そう言えば似てる…と囁いた。

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