潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「どうぞ」
奥座敷の襖が開けられ、先ずは尚行さんが入っていく。
そして、母が入室して、私は一番最後に足を中へ踏み入れた。
足元の畳は青く、清潔に拭き上げられていて、い草の香りが立ち込めていた。
壁際の奥に見える床の間には立派な水墨画が掛けられ、まるで書院造りのような雰囲気もある和室で、藤の座椅子に腰掛けていたのが、彼の祖父__。
「連れてきたのか?」
ジロリと彼を見ると、その人は厳しい声を出して目線をこっちへ向け直した。
ビクッと背筋を伸ばす私の隣に母がいるもんだから、その人はあれ?…と思ったみたいで、「先生?」とさっきのお祖母さんと同じように目を丸くした。
「帰られたのでは?」
「はあ、それが、門先でバッタリと娘に会いまして」
「はあ?娘?」
「ええ。私が生んだ、たった一人の子供です」
こっちが…と私に手を向けてニッコリ微笑んでくる。
私はドギマギして頭を項垂れるしかなく、それを見た彼のお祖父さんは、更に目を大きく見開いて彼に訊ねた。
奥座敷の襖が開けられ、先ずは尚行さんが入っていく。
そして、母が入室して、私は一番最後に足を中へ踏み入れた。
足元の畳は青く、清潔に拭き上げられていて、い草の香りが立ち込めていた。
壁際の奥に見える床の間には立派な水墨画が掛けられ、まるで書院造りのような雰囲気もある和室で、藤の座椅子に腰掛けていたのが、彼の祖父__。
「連れてきたのか?」
ジロリと彼を見ると、その人は厳しい声を出して目線をこっちへ向け直した。
ビクッと背筋を伸ばす私の隣に母がいるもんだから、その人はあれ?…と思ったみたいで、「先生?」とさっきのお祖母さんと同じように目を丸くした。
「帰られたのでは?」
「はあ、それが、門先でバッタリと娘に会いまして」
「はあ?娘?」
「ええ。私が生んだ、たった一人の子供です」
こっちが…と私に手を向けてニッコリ微笑んでくる。
私はドギマギして頭を項垂れるしかなく、それを見た彼のお祖父さんは、更に目を大きく見開いて彼に訊ねた。