潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「きっとご隠居様から私が勤めている病院を聞き出したのね。電話してきて、『ご自宅に花を送りますから住所を教えて下さい』って頼まれたわ。
花なんていい…と断ったんだけど、『父の日に三人で食事すると聞きましたし、自分もお父さんに何かをしたいから』って譲らなくて。…いい人よね。香純のこと本当に好きで、想ってくれてるんだなって感じたわ」
ソツがないと彼のお父様が言ってた通りね、と微笑み、真顔になってビールを飲み込む。
「……でも、お父さんは私のように単純じゃないからね。花束一つで感心するような人でもないし、香純のこととなると、人一倍敏感でナーバスになるから」
ホント面倒くさい人、と吐き捨て、私はどうでもいいのかしら…と不貞腐れる。
「…ねぇ、お母さん」
私は長年見てきた夫婦関係を思い起こし、この先もずっとバラバラで暮らしていくつもりなの?と問いたくなった。
寂しい…とか一度も感じたことはないんだろうかと思ったが、その寂しさを仕事で紛らすように働いてきた母を見ると、やっぱり何も言えずに口籠って……。
花なんていい…と断ったんだけど、『父の日に三人で食事すると聞きましたし、自分もお父さんに何かをしたいから』って譲らなくて。…いい人よね。香純のこと本当に好きで、想ってくれてるんだなって感じたわ」
ソツがないと彼のお父様が言ってた通りね、と微笑み、真顔になってビールを飲み込む。
「……でも、お父さんは私のように単純じゃないからね。花束一つで感心するような人でもないし、香純のこととなると、人一倍敏感でナーバスになるから」
ホント面倒くさい人、と吐き捨て、私はどうでもいいのかしら…と不貞腐れる。
「…ねぇ、お母さん」
私は長年見てきた夫婦関係を思い起こし、この先もずっとバラバラで暮らしていくつもりなの?と問いたくなった。
寂しい…とか一度も感じたことはないんだろうかと思ったが、その寂しさを仕事で紛らすように働いてきた母を見ると、やっぱり何も言えずに口籠って……。