潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～
「最近、お仕事楽しそうですね」


秘書にそう言われたのは、彼女とのメールが始まって半年近くが経った頃だ。


「そうか？」

「ええ。何だか前よりも張り切ってるように見えます」


現場から離れ副社長に昇格した頃とは少し違いますね、という声を聞き、自分ではそんなに大きな変化があったようには思っていなかったんだが＿＿。


（そう言われると、この頃は若干仕事に対する意欲が違うかもしれないな）


現場が面白くて、ずっとこのままの地位で居たいと思っていたのに、やはりそこは立場的にはまずいという意見が上がり、無理矢理副社長へと昇格させられた。

現場から管理者的な立場に追いやられてしまい、数値の管理や経営の方に専念しろ、と社長でもある兄貴からも言われたんだが……。



「現場に関わらないと、見えてこないことも多いもんだよ」


そう言って、ずっと店舗企画に関わる仕事を継続していた。

副社長としても覚えることは沢山あり、最初の頃は仕事が多過ぎて時々嫌気もさしてたんだが、この頃はそれも全く無くなり嫌気も感じなくなっている。


< 260 / 307 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop