潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～
（どうしてだろうな）


そんなことを思いながら仕事をしていて、ある日気づいた。
自分が発注する数と納品日に間に合わせようとして、必死になっている彼女の存在に＿＿＿。



（この人がこんなに頑張ってるのに、自分が腐ってたら駄目だよな）


見習わなきゃいけない、と思う気持ちからやる気が生まれたようだ。
それで、自分にやる気を取り戻してくれた彼女に、そのうち会ってみる手段はないものだろうか…と思い始め、あの研修制度を知り得た。




（そうして研修社員として潜り込んだんだが……）


思っていたのとは違う雰囲気の彼女に少し呆然となりながら顔を見た。

ふわふわした髪の毛は軽くワックスでまとめられているだけで、バリキャリ風でもなく、どちらと言うと一般職の事務員的な印象だった。


「営業二課で主任を務めています、百瀬香純です」


一応営業用と思わしき笑顔で挨拶するのを見て、ぺこんと頭を下げるだけになってしまった。
本当にこの人があの量の生産を毎月一人で調達管理しているようには思えない部分もあり、嘘だろ…と目を疑ってしまった＿＿。


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