潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
だったら俺から教える必要は特にない。

彼女は、俺の父親に研修をやめさせて欲しいと願い出てたようだったが、結局、俺には直接言ってもこなかったし、研修の間もいつもと態度は変わらなかったから。


(その代わり、周りにはこぞって反対されてたけどな)


各部署の長達の顔を思い出し、どいつもこいつも人を頼ってばかりいて…と憤る。
皆香純の仕事ぶりを見習ってみろ、と言いたくなり、研修初日の二課での様子を思い出した。


あの課で、香純はたった一人で多量の受注管理をやっていた。
同じ島の連中の仕事も助けてやりながら自分の仕事もこなしているのに、周りが彼女を助けてやろうという配慮には欠けているように見えた。



(入力の再チェックも、結構骨の折れる仕事だったのにな)


もう少し香純を助けてやれよ、と言いたくなり、あのオススメ品のコーナーを読んで感想を書いた時のことを思い出した。


あの時の彼女はえらく感動しているように見えた。
俺が書いた感想がとても役に立ったと言い、これまで批評してくれる人が誰もおらず、初めてで嬉しかった…と言っていた。


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