潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
(いちいち無言ってどうなの?返事はちゃんと声に出そうよ)


そんなんでどうして営業二課を希望したの?と思いながら、自分の仕事をノロノロとやり始める。
仕事を始めると不思議と智司のことは忘れ、没頭したまま午前の仕事は終わった。


十二時が過ぎ、お昼休みになった。
マウスから手を離し、ふぅーっと大きな溜息を吐いて背筋を伸ばした私は、思わず声を漏らす。


「んーっ!」


よく働いた…というか、ちょっと疲れた。
いつもよりも疲労感増すなぁ…と振り返り、そうか、失恋した所為だ…と思い出した。


(仕事している間は忘れてたけど、休んだ途端これか)


はぁ…と深い溜息が飛びだす。
食べる気力なんて湧かないな…と目線を上に向けた時、ジッとこっちを窺っている人の視線に気づき、ギクッとしながら、あっ…と思い出した。


「あの…」


そういえば、研修社員が来てたんだった。
彼にも社食を利用して貰えばいいんだよね、と思いつつ声をかけると、椅子から立ち上がった彼がデスクの向かい側から切り出してくる。


「昼食休憩の間、席を離れても大丈夫ですか?」


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