潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
香純と一緒に暮らすことを決めた時、「彼女と結婚する」と両親に意思を表明した俺は、式はまだ先に延ばすが籍だけは先に入れたい…と申し出た。

すると両親は……



「あら、まだそんな段階なの?」

「ソツのないお前のことだから、てっきりもう一緒に暮らしてるのかと思ってたんだが」


なんだ意外に奥手だな…と笑い、まあお前が見初めた相手なら間違いもないだろう…と認めてくれ、早速婚姻届を手配し、既に保証人の欄も埋めて俺の手元に渡してくれている。



「お母さんこそ仕事ばっかりしてないで、向こうへ行ったらちゃんとお父さんのこともフォローしてあげてね」


離れて暮らしてきた両親が、いきなり一緒に暮らしだして上手くいくのだろうか…と香純はまだ不安を感じている。

そんな彼女に目線を送りながら婚姻届が入ったバッグの肩紐をぎゅっと握りしめ、今日母親を見送った後で香純にこれを見せ、驚かせてやろう…と考えていた。



「大丈夫よ。こう見えて私、案外と尽くす方なのよ」


割と献身的なんだから…と自分を褒め称える母親を呆れて見る香純は、それはどっちかと言うとお父さんじゃないの?と言い返した。


< 298 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop