潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～
（じゃあ……）


バックキーを押してさっき打った文面を消去。
カタカタとキーボードを操作して打ち直した文章を確認し、私は送信ボタンをクリックした。


『承知致しました。少し遅れる可能性もありますが、なるべく待ち合わせの時間に間に合うように伺います。』


送った後でホッとしつつも少し困った。
本当なら今夜は昨日のことを研修社員の彼に謝るつもりでいたのに、それが出来なくなってしまった。


（……仕方ない。こっちの越智さんには、また明日謝ることにしよう）


コートはとりあえずクリーニングに出してから返却しよう。
それから、お金もきちんと返さないと。



はぁ…と息を吐き出しながら、ちょっと胸の中が騒ついていた。

あのOCFの越智さんと会う。
それだけなのに、妙にソワソワして落ち着かない。


（文字の上でしか話したことないけど、上手く喋れるかな…）


変な心配をしながらブラックコーヒーを飲み込む。
おかげで午後の仕事は無性にミスが多くて、我ながら自己嫌悪に陥って就業時間を迎えた。


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