潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「どうぞ、お掛け下さい」
にこっと人のいい笑みを浮かべた彼は、向かい側の席を手で示す。
私は気の抜けたまま、はあ…と生返事をして、引かれた椅子の上にお尻を着け、そのままテーブルへと着席。
「ビックリしました?」
嬉しそうな声で訊いてくる男性に目を向け直す。
私はその返事もせずに膝の上に置いていたお土産の袋の持ち手をギュッと握りしめ、何が一体どうなってんの?と頭の中で思考を繰り返す。
(彼が越智さん?…いや、越智さんというのは、勿論分かってるんだけど……)
ちょっと待って…と頭の中でもう一度整理。
確かこの人はうちの部署へ研修社員としてやって来て、昨夜は一緒に食事しようと誘われ、それで私は不甲斐なくも酔ってしまい、要らない泣き言や愚痴を遠慮もなくこぼしてしまった相手だ。
(だけど……)
どうも見た目が違う…と、また不思議に思いながら相手を確認し直す。
オフィスの終業時間まで向かい側の席にいた彼は、今朝と同じように髪の毛を目元まで垂らして、黒縁のメガネで顔を隠すようにしていたのに__。
にこっと人のいい笑みを浮かべた彼は、向かい側の席を手で示す。
私は気の抜けたまま、はあ…と生返事をして、引かれた椅子の上にお尻を着け、そのままテーブルへと着席。
「ビックリしました?」
嬉しそうな声で訊いてくる男性に目を向け直す。
私はその返事もせずに膝の上に置いていたお土産の袋の持ち手をギュッと握りしめ、何が一体どうなってんの?と頭の中で思考を繰り返す。
(彼が越智さん?…いや、越智さんというのは、勿論分かってるんだけど……)
ちょっと待って…と頭の中でもう一度整理。
確かこの人はうちの部署へ研修社員としてやって来て、昨夜は一緒に食事しようと誘われ、それで私は不甲斐なくも酔ってしまい、要らない泣き言や愚痴を遠慮もなくこぼしてしまった相手だ。
(だけど……)
どうも見た目が違う…と、また不思議に思いながら相手を確認し直す。
オフィスの終業時間まで向かい側の席にいた彼は、今朝と同じように髪の毛を目元まで垂らして、黒縁のメガネで顔を隠すようにしていたのに__。