潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
そもそもはそういうタイプの人が、最初から智司の好みだったんじゃないのかな、と今は思い始めていて、もう別にいいんです…と顔を俯けたままで漏らした。


「私はその女性とは違って、病気の時に彼の部屋へ行ってもお粥なんて作れなかっただろうと思うし、掃除とかをしてあげたかどうかも謎な感じだから」


そんなに家庭的な人間ではないんだ…と自分のことを振り返り、その時点で既に彼女には負けてたんじゃないかなと思う気持ちが募ってくる。


「でも」

「いいんです。もう、諦めようと決めたので」


所詮、彼とは一年間だけの付き合いだったし、その内の二カ月間ほどは会わない日々だったから…と過去を振り切った。


「私も本当は彼ともう一度会って話し合おうかなとは思いましたけど、会ってもきっと、距離は埋まらないと痛感したので」


だから、もういいんです…と再び同じセリフを発動。
すると越智さんは悔しそうな顔をしつつも唇を噛みしめ、息を吐き出すと同時に、そうですか…と納得して、私のことを見返してきた。



「それじゃ、次は俺と付き合いませんか?」


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