潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～

歩きながら、越智さんのように高級なお店には連れていけませんけど、この近くのカフェでちょっとお話がしたいので…と断ると、後ろから追ってきた相手は隣に立って微笑む。

それを見て、こんな風に近い距離に立つ相手がいるのが妙にこそばゆく感じ、背中が擽ったくなる様な感覚を覚えながら二人でカフェへと出向いた。




「あの…これ、有難うございました」


カフェの席に着くと、私はバッグの中から彼の書いた感想を取り出してお礼を述べた。


「とても的確で役に立ちそうだと思いました。こんな風にシビアな意見を言われることなんて殆ど皆無で、驚きもあったし、何より新鮮で嬉しかったです」


ここまではお昼休みに書いたメモにも記載した通りの言葉。
それを聞くと越智さんは少し困った様な表情で、笑って誤魔化す雰囲気で、「いや、こっちこそ偉そうに申し訳ない」と謝ってくる。


「百瀬さんが懸命に作ったであろうページを評価する様なことを書いて」

「いえ、本当にそうだなと思うことが多くて参考になります。今後はこれを大事にしながらまた作成に取り組みます。それで、これから伺いたいのは、これとはまた別の事なんですけど」