潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～

ぎゅっと手を握り、姿勢を前のめりにしてまで言いだすものだから思わず吹き出した。
私が可笑しくて笑い出したもんだから、越智さんはびっくりした様な目線を向けていて＿＿。


「すみません、本当にその通りだから可笑しくて」


私は目尻の涙を拭きながら息を整え、カフェオレを飲んで気持ちを落ち着けると、自分のことを少しだけ明かした。


「……私、子供の頃からマザーズの商品を口にして育ったんです。だから、それでかもしれませんね」


あのオフィスへ就職を希望したのも、今の営業職を選んだのも、その所為かも…と振り返った。


「あの、それは一体どういう…」


訊いては駄目だろうか…という雰囲気で声を発する越智さんに目を向け、私は迷いながら生い立ちを話し始めた＿＿＿。