潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「…あっ、すみません。つい長々と喋ってしまって」


また要らない情報を話してしまった…と慌てながらカフェオレを飲み込む。
すると彼は、いやいや…と言いながら手を振り、なかなか興味深くて面白いお話です…と感想を述べた。


「百瀬さんが仕事熱心な理由が分かるような気がしました。ご両親の影響もさることながら、ご自身の経験が絡んで現在の状況がある訳なんですね」


あのオフィスの商品について、かなり詳しい理由も納得した…と微笑まれ、お恥ずかしい限りです…と目線を俯ける。


「恥ずかしい?」


不思議に思ったらしい彼は、私の言葉を繰り返した。
私はそんな彼に頷いて、恥ずかしい限りです…とまた同じ言葉を重ねた。


「家族中で、まともに家事もしてこなかったような気がして」


いや、実際にしていたかと言えば、そうではない気がする。

料理だけでなく掃除も、母は一旦片付けるとその状態を長くキープしておきたい人で、私にはただ、出した物を同じ場所へと片付けることしか教えてこなかったから。


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