潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～

（あーいうの、本人は無意識でやってるんだろうか）


計算されている訳じゃないよね…と思いたくてもまだ分からない。
ただ、越智さんという人が、自分と少し似た雰囲気を持っていると思うだけで＿＿。




「すみませんけど…」


ぼうっと考え事をしていたから越智さんに声をかけられ、ビクッとして相手を見上げた。


「何かありました？」


大変な事でも起きたのだろうか…と心配をしたが。


「誠に無粋で申し訳ないんですけど、野暮用ができて行かないといけなくなりました。本当は、今日こそゆっくり会話する気でいたんですけど、どうにもそれが叶わなくて…」


次回でもいいですか？と問い直す相手に恐縮し、「どうぞ、私ならまたいつでもいいので」と返事。立ち上がると、お時間を頂いてすみません…と頭を下げ、遠慮なく行って下さい…と手で促した。


「カプチーノしか奢れなくてごめんなさい。また一緒にお食事でも」


その時は必ず自分がお金を払うつもりで言うと、越智さんは満面の笑みを浮かべてこう返してきた。


「はい！また話しましょう！」