潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～

ハッキリと返事する表情が、とてもイキイキして嬉しそうだった。

私はその顔を見ながら自分の体温が急上昇するのを感じ、歩き去っていく背中を見送って、ドアの向こうに彼の姿が消えてしまうと、ストン…と気の抜けたように椅子に座り直して、大きな溜息を吐き出した。



（あんな風に、自分と会うことを喜んでくれる人にも、初めて会ったかも……）


明らかに元彼の智司とは違う人種だ。

彼の態度や声色、文字の一つ一つを思い出すだけでも胸が弾み、自分でもこの変化は一体何？と驚くくらい、数分間の出来事が何度も頭の中を駆け巡っていく＿＿＿。



（また明日、あの人とオフィスで会えるんだ。そう思ったら凄くハッピーな気がする……）


嬉しさと同時に若干の戸惑いも生まれる。

だけど、嬉しい方がはるかに増して、向かい側に座っていた彼の席を見つめながら、またゆっくり話したい…と心の底からしみじみと思い返してしまった……。