明日、桜が咲く
不良女子

「河井ちょっとこい!」
今日もまた担任の梶谷に呼び出された。
もう梶谷に呼び出されるのは何回目だろうか。
今回もこっぴどく怒られ暗い気持ちで教室に戻る。
「あやか〜また呼び出しくらったの〜?」
そう笑顔で駆け寄ってきたのは、同じクラスの中本 すみれ。すみれとは高校1年生のときに同じクラスになって意気投合し2年連続同じクラスになった。
いつも一緒にいてくだらないことで笑ってる喧嘩して、気づけば私の大切な存在になっていた。
そしてすみれの隣にいる、その子の名前は原田 楓。楓も1年生の時に仲良くなって、2年でも同じクラスになった。
人見知りが激しい私にとって同じことクラスに2人がいる事はとても心強かった。
「で、次は何やらかしたの?」
そう、笑いながら2人が聞いてくる。
「この前のテストでまた欠点とっちゃってさ〜次、欠点とったら卒業できないって言われたんだよね。」
「いや、それやばいじゃん!!」
そんな真剣な顔で言わないでよ〜と思いつつも自分の中でかなり焦っていた。
私は超がつくほど勉強が苦手。今までのテストだって欠点ばっかりだった。
そもそも勉強なんかする気ないし、将来の夢だってまだ決まってないし焦らなくても大丈夫だろうと思っている自分がいた。でも次のテストで欠点を取れば卒業はできない。すみれと楓とも一緒に卒業できないのは嫌だな〜。
テストの事ばかりを考えていた6時間目はいつもより早く感じ、終わりを告げるチャイムが鳴った。
今日は3人で遊ぶ約束をしている。放課後になればテストの事なんて忘れて遊び呆けていた。
「ねぇ!この服、超かわいくない?!」
「え、めっちゃかわいい!」
「私はこの服が欲しいな〜」
「え、このコスメ新商品じゃない?」
「え!ほんとだかわいいー!」
3人の趣味が合うからこそ2人といるのはほんとに楽しいし、好きなものを見ていると止まらない私たち。時間はあっとゆう間に過ぎて行き、家に着いたら11時を過ぎていた。
ただいまも何も言わず、玄関に入る。
「あやかちゃん。もうちょっと早く帰ってきた方がいいんじゃない?最近は変な人もうろついてるってニュースで言ってるんだから。何かあってからじゃ遅いのよ。」
その言葉を無視して2階の部屋に上がっていった。
私にそう話しかけてくる人は本当のお母さんじゃない。
本当のお母さんは私が中学1年生の時に亡くなった。
白血病だった。お父さんからお母さんが亡くなった知らせを聞いた時は頭が真っ白になった。
全身の震えが止まらなくてしばらくの間、立つ事さえ出来なかった。
病院に行くと変わり果てているお母さんがいた。
私はそこが病院だとゆう事も忘れ大泣きしていた。
お母さんと何度言っても、もう返事はしてくれない。いつもみたいにあやかって呼んでくれない。
当たり前の事だけどその現実を受け止めるには時間がかなりかかった。
それから私はショックでしばらくの間学校にも行けなくなった。学校にいても何も身に入らなくて、今までクラスの順位も学年全体で1桁代だったのに、最後から数える方が近くなった。そこから何もかも、おろそかになり高校を合格するのもやっとだった。
高校1年生の時、突然家にある女性がきた。
お父さんの口から次の私のお母さんとゆう事を聞いた時は驚きを隠せなかった。
私は今でもお母さんの事を忘れる事が出来ないのに、お父さんはもうお母さんの事など忘れたかのようにその女性を私に紹介してきた。
「今日からあやかの新しいお母さんになる方だ。
仲良くしなさい」
そうお父さんがゆうとその女性が初めて口を開いた。
「初めまして。今日からあやかちゃんのお母さんになります。どうぞよろしくね。」
そう、笑顔で私に話しかけてきた。
冗談じゃない。私のお母さんは本当のお母さんじゃないと嫌だ。亡くなっているとしても、本当のお母さんは1人だけだ。
そう思いながら私はお父さんに向かって怒鳴った。
「何で再婚なんかしたの?!お母さんの事もう忘れたの?そもそもなんでもっと早く私に言ってくれなかったの?!ねぇ、なんで!!!」
そう言っている時に自然と涙が流れた。
お父さんは静かに口を開き、私に言った。
「いや、お母さんが亡くなってからあやかがずっと暗い顔をしてたから新しいお母さんを見つけないとって思った時に、会社で出会ったんだよ。だから、お母さんの事を忘れたとかじゃなくて…」
そう言っている途中で私はお父さんの言葉を塞いだ。
「私は絶対認めないから。私はお母さんって呼ばないから。」
それだけ言って、自分の部屋へと戻っていった。
机に飾っているお母さんとの写真を眺めると自然と涙が流れてきた。
「お母さん、会いたいよ……。」
そう写真に向かって私は呟いた。
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