命令恋愛
「それなら、鎌田先輩も俺のこと苗字で呼ぶのやめてくれますか?」


「え!?」


こちらに話をふられるとは思っていなかったので驚いてしまった。


確かに、ずっと田中君と呼んでいたら、ちょっとよそよそしいかもしれない。


「わかった……勇気君」


そう言った瞬間、自分の顔がカッと熱くなるのを感じた。


京太の時だってこんなに照れたことはなかったかもしれない。


「あ、ありがとう」


勇気君は照れながらもうれしそうに頭をかいている。


そうこうしている間に、もうあたしの家は目の前だ。


気が付かなかったけれど、勇気君はあたしの目的場所に合わせて歩いてくれていたようだ。


さりげない気づかいに気が付いて、胸がキュンとしてしまった。
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