命令恋愛
☆☆☆

晴れてカップルになった後の勇気君は、とても多弁だった。


好きな食べ物、嫌いな食べ物から始まって、初恋の相手の話など次々と話題を出して来る。


初恋の相手の話をしている間は、勇気君から聞いて来たくせに拗ねていた。


「あ、もう家についちゃった」


気が付けばあたしの家は目の前にあって、勇気君は残念そうな顔をしている。


あたしももう少し勇気君を話をしていたかった。


でも、真っ直ぐ帰らないと休日に家から出させてもらえなくなるもかもしれない。


全部、自分のせいだった。


「じゃあ、また明日ね」


そう言って玄関を開けようとしたあたしの手を、勇気君が握りしめていた。


「なに?」


首をかしげつつ振り向いた瞬間、勇気君の唇があたしの唇に押し付けられていたのだった。
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