命令恋愛
☆☆☆

翌日、あたしはいつも通り家を出て学校へむかった。


勇気君と晴れて彼氏彼女になった朝はなんだかくすぐったくて、でもとても気分が良かった。


鼻歌気分で２年Ｃ組の教室のドアを開けると、香菜美はまだ登校してきていなかった。


そのまま自分の机に向かおうとしたとき、クラスメートたちから小さな笑い声が漏れた。


その笑い声があたしへ向けられた物だと気が付くのに時間はいらなかった。


自分の席について黒板へ視線をむけたとき、その写真が目に飛び込んで来たのだ。


一瞬頭の中は真っ白になり、何も考えられなかった。


しかし次の瞬間、あたしは黒板へかけより、マグネットで貼られていた写真を取り外していた。


そのまま手の中で丸めるが、心臓がバクバクとうるさい。


「今の、見た？」


「すっごい慌ててたね」


そんな話声が聞こえてきて、あたしは逃げるように女子トイレに入った。
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