命令恋愛
個室に入り、呼吸を整えてからクシャクシャに丸めた写真をもう1度確認する。


何度見ても間違いない。


その写真はあたしが援助交際をしたときの写真だったのだ。


あたしと、おじさんが2人でホテルに入って行く様子が撮られている。


しかし、これは2度目の援助交際の写真だ。


つまり、チヒロと一緒に行ったときのものなのだ。


徐々に状況を理解してきて、体中から汗が噴き出してくる。


幸い、クラスにはまだ数人の生徒しか登校してきていなかった。


他の子たちには見られていない。


でも、こんな写真を撮れるのはチヒロしかいなかった。


「なんでこんなことを……」


そう呟き、あたしは再び写真を丸めたのだった。
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