命令恋愛
「目の下真っ黒になってる。眠れなかったの?」


「うん、まぁね」


あたしはそう言い、欠伸をかみ殺した。


あんな写真を持っていられるのだから、眠れるハズもなかった。


教室に貼られていた写真はあの後燃やして処分したけれど、印刷すればいくらでも複製することができる。


なにがなんでも、元のデータを消す必要があった。


「チヒロ来ないね……」


登校して来てから40分。


もうすぐホームルームが始まる。


香菜美と2人で待っていたけれど、チヒロはまだ来ていなかった。


きっとあたしを避けているのだろう。
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