命令恋愛
けれど、チヒロだっていつまでも学校を休むことはできない。


必ず来るはずだった。


そう思って待っていると、ホームルームのチャイムが鳴る1分前にチヒロが階段を上がって来るのが見えた。


「来た!」


小さな声でそう言い、あたしは階段を駆け下りた。


香菜美がその後についてくる。


足音に気が付いたチヒロが咄嗟に方向転換しようとしたので、あたしはその手を掴んで引き止めていた。


「チヒロ、ちょっと話がある」


あたしはチヒロを睨み付けて、そう言ったのだった。
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