命令恋愛
☆☆☆

あたしたち3人は校舎裏へ来ていた。


香菜美は教室へ戻るように言ったのだけれど、強引についてきてしまった。


「話ってなに? あんたのせいで遅刻なんだけど」


チヒロがあたしを睨み付けてそう言った。


「あの写真、どういうこと?」


「写真ってなに?」


「とぼけないでよ!」


あの写真を撮影できたのはチヒロしかいないのだ。


犯人は絶対にチヒロで間違いない。


「あぁ~、あれ? あんたがオッサンと2人で――」


そこまで言ったチヒロの頬を、あたしは思いっきり叩いていた。


人を叩いたのは初めてだし、咄嗟に手が出てしまったことに自分でも驚いた。


「ちょっと優奈!」


後ろにいた香菜美が慌ててあたしとチヒロの間に割って入った。


「……ごめん」
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