命令恋愛
その途端「どうして俺と会ってくれないんだ」画面の中の恭介が鋭い口調でそう言ったのだ。


それがあまりに迫力のある声だったので、スマホを落としてしまいそうになった。


「もしかして他に好きな男でもできたのか？　答えろよユウナ！」


「べ、別にそんなんじゃないよ」


思わず、スマホに向けてそう返事をしてしまった。


「なんだ、そっか」


途端に表情を和らげてほほ笑む恭介に、あたしは瞬きを繰り返した。


今、本当にあたしと会話をしたように感じられた。


「恭介、あたしの声が聞こえてるの？」


試にそう聞いてみたけれど、画面上の恭介は反応を示さなかった。


そりゃそうだよね。


最初にインプットされたことを話すだけのゲームだもん。
< 140 / 316 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop