命令恋愛
床に膝をつき、お弁当を拾っていく。


「今日も自信作だったんだよ? あ、京太の分はちゃんと食べてね? あたしは、その安っぽいサンドイッチでいいから」


そうだよ、きっと京太は照れてるんだ。


昨日あんなに喧嘩をしてしまったから、気まずいのかもしれない。


「鎌田優奈に好きになられたらヤバイって噂、本当だったんだな」


「京太悲惨~」


「ストーカーまがいのことをされた連中もいるらしいぞ」


コソコソと聞こえて来る声は、きっとあたしと京太の関係を妬んでいるから。


こんな噂を真に受けて別れを切り出すなんて、京太って本当に可愛いんだから。


「よし、綺麗になった」


そう呟いて立ち上がったとき、すでに京太の姿は教室のどこにもなかったのだった……。
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