命令恋愛
「あのゲームが消せなくて、スマホの不具合かもしれないから修理に出してるの。それなのに、代用機にまでダウンロードされてさ……」


「ちょっと待って? このアプリは優奈がダウンロードしたんじゃないの?」


その質問にあたしは左右に首を振った。


自分でダウンロードしたのなら、こんなに慌てていない。


「勝手にダウンロードされたってこと?」


「うん。しかも、見て」


あたしはそう言ってアプリを削除するところを香菜美へ見せた。


アプリは削除されず、そのまま残っている。


「なにこれ。アプリが消えないことってある?」


「ないよね?」


スマホに元々入っているアプリなら消せない時もあるけれど、このゲームは違う。


「このゲームにもチヒロが関わってるんだから、絶対になにかあるはずだよ」


力強くそう言うあたしに、香菜美は不満そうに眉を寄せた。
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