命令恋愛
☆☆☆

図書室へ入ると、ちょうどカズマがカウンターの中にいた。


あたしはまっすぐにカウンターへと向かう。


「また、お前か」


ファイルから顔を上げたカズマが、うんざりした声でそう言った。


めんどくさいことに巻き込まれたくないのだろう。


「ねぇ、このゲームについてなにか知ってる?」


あたしはそう言って、ゲームを起動してあるスマホ画面をカズマへ見せた。


「⦅イケメンの言うとおり♪⦆? なんだこれダサイタイトルだな」


そう言って大きなお腹を揺らして笑う。


「真剣に答えて!」


「わかったから、大声出すなよ」


しかめっ面をして周囲を見回すカズマ。


静かに本を読んでいた生徒たちが、迷惑そうな顔を向けているのがわかった。
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