命令恋愛
「ゲームについて考えてた」


チヒロが言っていたことの意味は、どれもわからないままだ。


そのせいであたしの胸の中はモヤモヤしている。


「考えすぎはよくないよ? スマホが修理から戻れば消えてるかもしれないんだし」


「そうだけど……」


あたしはそう呟き、鞄からお弁当箱を取り出した。


あまり食欲はないけれど、少しくらい食べておかないと後がもたない。


お弁当箱を開けて端を持ったときだった。


「ちょっとくらい会話してくれよ」


そんな声が聞こえてきて、あたしは箸を止めた。


今の声、あたしの鞄の中から聞こえて来た。


まさかと思いながらスマホを取り出してみると、案の定ゲームが起動されている。
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