命令恋愛
慌ててスマホを取り出して画面を確認すると、恭介がこちらを睨み付けているのが見えた。


「なぁ、ユウナ?」


恭介の右手には昨日と同じ針が握られている。


しかし、その針の先は赤く染まっているのだ。


あたしはスマホの画面と自分の指先を交互に見た。


まさか、そんなことあるはずない。


そう思うのに、あたしの心臓はどんどん早くなっていく。


「なぁ、ユウナ?」


再び恭介がそう言った時、今度は右腕に痛みが走った。


今度はさっきよりも激しい痛みで、鞄を落としてしまった。


恐る恐る右腕を確認してみると、ちょうど血がにじみ出て来たところだった。


「なにこれ……」
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