命令恋愛
☆☆☆

何度自分の指先を確認してみても、小さな傷痕ができていた。


腕の傷にしてもそうだ。


あたしの周りにはなにもなかったのに、突然痛みを感じて血が流れ出して来たのだ。


「優奈おはよう。指先、絆創膏貼ってるじゃん。どうしたの?」


「香菜美……」


今朝の出来事はどう説明したらいいのだろう。


香菜美にはどんなことでも相談したかったけれど、なかなか言い出す事ができなかった。


「優奈?」


香菜美が不思議そうな顔をこちらへ向けて、首をかしげている。


「あのね、信じてもらえないかもしれないけど、ゲームの中から恭介があたしに命令をしてきたの」


「え?」
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