命令恋愛
「恭介は、あたしに向かってそう命令をしたの。朝ご飯を作らずにいたら、刺された」


「刺されたってどういうこと? 恭介はゲームのキャラなんだよね?」


あたしの話していることの意味が理解できないのか、香菜美は眉をよせた。


「ゲームのキャラだけど、でも違う!」


説明できなくて、苛立ちと共に怒鳴ってしまった。


どうしようもなくて、右腕の深い傷を香菜美に見せた。


こちらにも絆創膏が貼ってある。


「ここにも針を刺されたの。すごく深く刺された」


「嘘でしょ? これを恭介がやったって言うの?」


「うん」


「どうやって? まさか、ゲームから出て来たとか?」


「違う!!」


あたしは強く左右に首を振った。


けれど、香菜美に理解できなくて当然だった。


あたしだって、まだ信じられないのだから。
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