命令恋愛
「血が出てる!」


隣の席の子がそう叫んだ。


耳を押さえていた右手を確認しても、その手は真っ赤に染まっていた。


あぁ……恭介の命令をきかなかったからだ!


「優奈!?」


気が付いた香菜美がかけよってくる。


「誰か、鎌田さんを保健室に連れて行って」


先生の声が飛ぶ。


だけど、保健室に行っている暇なんてなかった。


すぐにジュースを買ってこないといけない!


「1人で行けます」


あたしは先生へ向けてそう言い、スマホをスカートにねじ込むと教室から出たのだった。
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