命令恋愛
☆☆☆

それからも、あたしがカンニングを辞めるたびにホッチキスの針を太ももに突き刺された。


針は折り重なるように何度も同じ個所に突き刺され、痛みを増幅させる。


「優奈、大丈夫?」


ようやく授業が終わった時、香菜美が駆け寄って来た。


あたしは左右に首をふって深呼吸をくりかえした。


大きく呼吸をしていると、少しだけ痛みが和らぐ気がする。


「どこに……?」


そう聞かれたので、あたしはスカートをめくって太ももの内側を見せた。


自分でも想像していなかった以上に、ホッチキスの針が突き刺さっている。


軟らかな肉はホッチキスの針のせいで突っ張り、赤い筋が走っていた。


針の一本一本は肉の奥深くまで食い込んでいるのがわかった。


「こんな……ヒドイ……」


それを見た香菜美は一瞬にして青ざめた。
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