命令恋愛
恭介は笑顔を浮かべたまま完全に瞼を縫い付けてしまった。


そして躊躇することなく、左瞼に針を突き刺した。


「なぁ、ユウナ?」


その瞬間、右瞼に痛みが走った。


「いっ……!?」


その場にスマホを落とし、瞼を押さえながら鞄から手鏡を取り出した。


どんどん、自分の呼吸が乱れて行くのを感じる。


「こんな……」


あたしの右瞼には小さく穴が開いていて、そこから血が滲んでいた。


このままじゃ両目を縫い合わされてしまう!!


あたしは弾かれたように、部屋を出たのだった。
< 217 / 316 >

この作品をシェア

pagetop