命令恋愛
☆☆☆

近くのコンビニまでは歩いて3分ほどだった。


それでも全力で自転車を走らせた。


恭介は万引きをするように命令してきたけれど、何を万引きすればいいんだろう?


商品の指定はなかったから、なんでもいいんだろうか?


コンビニに到着した頃には全身に汗をかいていた。


自転車を駐輪場に置きながら、呼吸を整える。


店員に怪しまれたら、そこで万引きは失敗だ。


そうなると……。


自分の目を縫い合わせている恭介の姿を思い出して、あたしは身震いをした。


あんな姿になるのは絶対に嫌だ!


絶対に万引きを成功させないと。


そう思ってコンビニに入ったとき、再び瞼に痛みが走った。
< 218 / 316 >

この作品をシェア

pagetop