命令恋愛
チクリチクリと突き刺される痛みが瞼の上下にある。


そして、なにかがその穴を通って行く感覚。


気持が悪くて吐きそうになりながら、あたしは雑誌コーナーへと向かった。


壁がガラスになっているこのスペースにお客さんの姿はなく、カウンターからも少し離れている。


しかし、雑誌や漫画を盗むのは抵抗があった。


サイズが大きくてバレる可能性が高い。


あたしはガラス越しに雑誌コーナーの後ろを確認した。


そこはメイク道具などが並んでいて、小さな商品も置かれている。


マニキュアなら、手の中に納まるサイズだ。


その間にもあたしの右目には違和感が続いていた。


チクリ。


チクリ。


スーッ。


チクリ。


チクリ。


スーッ。
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