命令恋愛
定期的な感覚と共に、瞼が重たくなって目を開けていられなくなった。


ガラスで自分の顔を見て見ると、すでに目の半分が縫い合わされていることに気が付いた。


恐怖心が湧き上がり、呼吸が乱れて来るのを必死に抑え込んだ。


ここまできて引き返すわけにはいかない。


自然に、違和感のないよう振り向いた。


メークコーナーが目の前にある。


近くにはお客さんの姿も、店員の姿もない。


大丈夫。


これならいける……!


次の瞬間、あたしはピンク色のマニキュアを自分の鞄の中に滑り込ませていたのだった。
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