命令恋愛
☆☆☆



自転車をこいでいる間、あたしは体の痛みを忘れていた。


それくらい興奮状態だったんだと思う。


携帯電話ショップに到着した時には汗だくになっていた。


「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」


汗だくになっているあたしを丁寧に席に案内してくれる。


あたしは鞄から代用機を取り出してテーブルに置いた。


「こちら、ご確認ください」


そう言い、元々使っていたスマホを手渡された。


数日間使っていなかっただけなのに、ひどく懐かしい感触がした。


呼吸を整えてから画面を確認していく。


「ない……」


あたしはポツリとそう呟いた。


本当に、⦅イケメンの言うとおり♪⦆が、画面上から消えているのだ。
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