命令恋愛
教室まできて、そのことを思い出した。


ゲームが消えたことだけで頭がいっぱいで、一番心配してくれている香菜美に連絡をしていなかった。


香菜美はまだ登校してきていないし、今の内にメッセージを送ろう。


そう思ってスマホを取り出した時だった。


画面を見つめてあたしは固まってしまっていた。


全身の血が冷たくなっていくのを感じる。


指先から毛の一本一本までが震えて、立っていることも困難な状態だ。


あたしは力が抜けてストンッと椅子に座っていた。


「なんで……?」


そう呟くスマホ画面には、恭介の笑顔が表示されていたのだった……。
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