命令恋愛
こうすることで自分が楽になる事を、あたしはもう知っていた。


これ以上苦痛を感じないためにこうする必要があったのだ。


あたしはロープの輪を首にかけ、目を閉じた……。


「なにしてんの?」


その声にハッと息を飲んで目を開けた。


空き教室の入り口にいるのはチヒロだ。


スマホを持ち、仁王立ちをしてあたしを睨み付けている。


「チヒロ……?」


「死んで楽になろうって魂胆?」


チヒロはそう聞きながらこちらへ歩いてくる。


自殺をしようとしているあたしを見ても、驚いている様子はない。


「なんでここに……?」


そう聞くと、チヒロがあたしにスマホを見せていた。
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