命令恋愛
「ねぇ、優奈。あんたヤバイらしいね!」


教室中に聞こえるようにそう声をかけてきたのは、B組の中下チヒロだった。


チヒロとあたしは中学時代からの友達で、今でも時々一緒にお昼を食べたりしている。


チヒロは茶色いポニーテールをなびかせてあたしに近づいて来た。


「ヤバイって、なにが?」


そう聞き返すと、なぜかチヒロは大きな声で笑い出した。


「そういうところ変わってないよねぇ。自覚ゼロ!」


そう言ってあたしの背中を痛いほどに叩くチヒロ。


「なんのこと? 自覚ってなに?」


「優奈はそんなの気にしなくていいよ。それよりさ、もう人に迷惑かけないようにゲームをお勧めしてあげようと思って来たの」


チヒロはそう言って、ピンク色のスマホをスカートのポケットから取り出した。


「ゲーム? なに言ってるの?」
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