命令恋愛
「なにを思い出しそうだったの?」


「えっと……泣いている男の子の声」


思い出したその声は、恭介のものによく似ていた気がする。


「きっと、あたしがその子を泣かせたんだと思う」


覚えていないけれど、チヒロが言っていた『傷つけた方はは覚えていない』という言葉を思い出すと、そうなのだろうと思えた。


あたしはアルバムに写っている男子生徒の顔を、1人ずつじっくりと見て行く。


どれもこれも見覚えのある顔ばかり。


だけど、あの声の主は誰だったか……?


「あ」


6年3組まで見終えた時、あたしは小さく声を上げた。


写真の右上に四角く乗せられた男子生徒に視線が向かう。


「なにか見つけた?」
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