命令恋愛
「優奈……?」


遠くからそんな声が聞こえてきて、あたしと香菜美は視線を向けた。


そこに立っていた女の子に、あたしは目を見開いていた。


南木千秋(ナンモク チアキ)。


小学校時代達治をイジメていたメンバーの1人なのだ。


「千秋……!?」


「どうして優奈がここにいるの?」


そう言いながら近づいてくる千秋は、片足をひきずっている。


怪我でもしているのかもしれない。


「あたしは、ちょっと用事があって……。あ、香菜美。この子は千秋。小学校の頃の同級生だよ」


「はじめまして」


香菜美が軽くお辞儀をしても、千秋は「ふぅん」と鼻を鳴らすだけだった。
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