命令恋愛
さすがに、昔から同じグループだけあって千秋はまだ全員と連絡し合っていた様子だ。


20分ほど経過すると「弘子とだけ連絡がつなかい」と、千秋は言った。


西弘子(ニシ ヒロコ)は達治イジメのリーダーだった子だ。


「達治とも連絡がつかないし、2人ともなにかあったのかも……」


あたしがそう言うと、香菜美が「あの……」と、口を開いた。


「なに?」


「達治って子、随分ひどくイジメられてたの?」


香菜美の質問に、千秋は頷いた。


「小学生にしては結構えぐかったかもね。ホッチキスで耳に穴を開けたこともある」


「嘘……!」


さすがにそこまでは知らなかったので、あたしは思わず声を上げていた。


「本当だよ。この家に誰も住んでないって聞いてから、もしかして達治は自殺したんじゃないかって思ったんだけど……」


千秋はもう1度家を見上げてそう言った。
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