命令恋愛
「西野達治って人を知ってますか?」


前回と同じようにひと気のない場所まで移動して、あたしはそう聞いた。


「西野達治? 誰だそれ」


カズマは首をかしげている。


あたしと香菜美は目を見交わせた。


たぶん、嘘はついていないだろう。


「チヒロの友達です」


本当のところはよくわからないけれど、達治とチヒロが知り合いであることは間違いないので、そう説明した。


「あぁ~、そういえばよく男と電話してるかもな」


カズマが思い出すようにそう言った。


「電話って、どんな内容かわかりますか?」


「さすがにそこまでは知らないよ。知ってても教えないけど」


カズマはそう言い、お腹の肉を揺らして笑った。

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