命令恋愛
「電話の内容の盗み聞きくらいしてるんじゃないですか? チヒロの手伝いをしたらお金になるみたいだから、カズマ先輩もアンテナ張ってないといけないでしょ?」


あたしはそう言ってニヤリと笑った。


確証なんてどこにもないけれど、言ってみなければわからない。


すると、カズマ先輩の表情が変わった。


「まぁ、電話が偶然聞こえてきてことくらいはあるけどな。でも、それを君に伝える義理はない」


そう言うと思っていた。


あたしはスカートのポケットから財布を取り出して、千円札と1枚カズマ先輩の前に出した。


カズマ先輩の目が輝くのがわかった。


この人はお金さえ出されればどんなことでもする人なのだ。


「仕方ないな。少ない情報しか持ってないから、今回はこれで許してやるよ」


上から目線でそう言い、あたしの手から千円札を奪い取った。
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