命令恋愛
自分の考えを見透かされたような気分だった。


「ゲームなら害もないし、モデルの子に会える可能性もある。どう? 京太君を諦めて、このゲームをしてみない?」


「京太を諦めることはないよ」


チヒロの言葉にあたしはそう言い切った。


だいたい、諦めないといけない理由もないし。


「はいはい。じゃあ、少しだけプレイしてみるっていうのは?」


そう言われて、あたしは画面を見つめた。


京太に似ているキャラがあたしへ向けてほほ笑みかけている。


それは嫌な気分にはならなかった。


最近京太はあたしに笑いかけてくれないし、いいかもしれない。


「無料ゲームなんでしょ?」


「もちろん。ただ、課金をした方が有利に進んで行くけどね」


「それなら、やってみようかな」


課金なんて、しなければいいだけの話だ。


そう思い、あたしは⦅イケメンの良うとおり♪⦆を、ダウンロードしたのだった。
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