命令恋愛
☆☆☆

香菜美と合流して河川敷へ向かうと、下りて行く階段には立ち入り禁止と書かれた黄色いテープが張られていた。


「さすがに近くまでは行けないね」


歩道の上から河川敷を見下ろして香菜美が言った。


「そうだね……」


弘子になにがあったのか知りたかったけれど、関係者らしき人の姿も見えなかった。


直接弘子の家に行くこともできるけれど、こんな状況であたしの話を聞いてくれるとは思えない。


「そこで女の子が溺れてたんだ」


どこからかそんな声が聞こえてきて、あたしと香菜美はそちらへ視線を向けた。
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